こんにちは!星宮りょうです。前回のコラムでは、ジョジョ第3部「スターダストクルセイダース」と大アルカナの見事なリンクについてお話ししました。読者の方からも嬉しい反響をいただき、タロットとエンタメの融合の面白さを改めて実感しています。
さて、ジョジョ第3部を最後まで読まれた方なら、物語の後半でのある変化をご存知ですよね。承太郎たちがエジプトに上陸した後、敵スタンド使いのモチーフが「大アルカナ」から「エジプト9栄神(エジプト神話の神々)」へとガラリと変わるのです。
タロットは「古代エジプトの魔術書」だった?
そもそも、なぜヨーロッパで発展したはずのタロットと、古代エジプトの神話が結びつくのでしょうか。現在の歴史学的見解では、タロットの発祥は15世紀の北イタリアとされています。しかし18世紀のヨーロッパでオカルトブームが起きた際、アントワーヌ・クール・ド・ジェブランという学者が壮大な仮説を発表しました。
「タロットカードとは、古代エジプトの叡智が記された魔法の書物『トトの書』が、形を変えて現代に残ったものである」——この説がヨーロッパを熱狂させ、多くの魔術結社がタロットとエジプト神話を融合させた独自のカードを生み出していきます。アレイスター・クロウリーが設計したカードが「トート・タロット」と呼ばれるのも、このエジプト起源説に基づいているからです。
つまり、神秘学の世界においてタロットとエジプト神話は決して無関係ではなく、ひとつの巨大な魔法の体系として深く根っこで繋がった双子のような存在なのです。
物語の「タロットからエジプトへの移行」の深い意味
普遍的な「愚者の旅」
古代の呪術的な世界
すべての終着点
旅の前半を彩った大アルカナは、世界中どこにでも通じる普遍的な人生の旅(愚者の旅)の象徴です。しかしDIOが潜むエジプトの大地に足を踏み入れた途端、彼らを襲うのは「エジプトの土着の神々」になります。これは主人公たちが「普遍的なルールの世界」から、DIOの魔力が色濃く根付く「古代の呪術的でローカルな世界」へと完全に引きずり込まれたことを読者に感じさせる強烈な演出なのです。
エジプト9栄神の秀逸な設定
エジプト9栄神のスタンドたちは、神話の特性とタロットの暗示を見事に融合させたような素晴らしい設定を持っています。
ジョジョの奇妙な冒険第3部は、単なる能力バトル漫画の金字塔であるだけでなく、西洋神秘学や神話学の豊かなエッセンスをエンターテインメントとして完璧に調理した、類まれなる傑作です。
タロットカードを引くとき、その絵柄の奥には古代エジプトの神々の息吹が今も静かに流れています。もしお手元にタロットカードがある方は、ぜひ「このカードには、エジプトのどの神様が隠れているだろう?」と想像しながら眺めてみてください。きっと、いつもとは違う、ミステリアスで力強いインスピレーションが湧き上がってくるはずですよ。