こんにちは!星宮りょうです。いつもコラムを読んでくださり、本当にありがとうございます。我が家の2匹の猫たちは、陽の当たる窓辺を求めて「日向ぼっこパトロール」に余念がない毎日です。彼らのように、過去を悔やむでもなく先のことを心配するでもなく、ただ今この瞬間の心地よさに身を委ねる姿を見ると、人間ももう少し肩の力を抜いてもいいのかな、と教えられる気がします。
タロットは迷いの中にいる私たちに寄り添い、思いもよらない視点から優しい光を当ててくれる素晴らしいパートナーです。しかし、ハサミが紙を切るのには適していても釘を打つことはできないように、タロットにも「できないこと」が明確に存在します。
「最近体調が優れないのですが、どこか悪いのでしょうか?」「この病気はいつ治りますか?」——そういったご相談をお受けすることがあります。心細く不安な気持ちはよくわかります。「大丈夫ですよ」という言葉をもらって安心したいですよね。
しかし、私たち占い師は医師ではありません。タロットカードは、あなたの心の中にある不安や希望・無意識の感情を映し出す鏡のようなものであり、肉体の病状を透視したり治癒の時期を予言したりする医療機器ではないのです。
もし、あなたやあなたの大切な人の健康に少しでも不安があるのなら、行くべき場所は占い館ではなく、迷わず「病院」です。これはタロットに限らず、どんな占術においても共通する絶対的なルールだと私は考えています。
世の中には、相談者の弱みや不安につけこむような占い師も存在します。鑑定の中で「このままでは大病を患いますよ」「私の言う通りにしないと命に関わります」と脅すようなアドバイスをしてくる人がいたとしたら——その言葉は、決して信じてはいけません。本当の占いは、相談者の心を軽くし前を向いて歩き出すための勇気を与えるものです。恐怖や不安を煽って相手をコントロールしようとするのは、悪質な手口である可能性が非常に高いのです。
「私は10年後、どうなっていますか?」「老後は幸せに暮らせているでしょうか?」——こういったご質問も、タロットにはあまり向いていません。
タロットカードは「今、この瞬間のあなたの深層心理」と会話するためのツールです。現在のあなたの考え方・行動パターン・周囲の状況を読み取り、「このままのシナリオで進んでいった場合、近い未来にこんな展開が待っていそうですよ」という「現在の延長線上にある一番可能性の高い未来」を映し出すのが得意なのです。
占う先が遠くなればなるほど、結果はピントの合っていない写真のように、ぼんやりと不正確なものになってしまいます。人生という物語は毎日の小さな選択の積み重ねによって常にリアルタイムで書き換えられているからです。
タロットで占うのに適しているのは、長くても「半年から1年先」くらいまでの近未来です。今抱えている悩みの解決口を探ったり、数ヶ月先の展開を予測して対策を練ったりするために使うのが最も効果的です。
今を生きるための「心の羅針盤」として
タロットカードは「絶対的な未来の予言」や「医学的な診断」を与えてくれる魔法の杖ではありません。しかし、そういった限界があるからこそ、その本質的な美しさが際立つのです。
タロットが本当に得意としているのは、「あなた自身すら気づいていない、心の奥底にある本音を引き出すこと」です。
「AとBで迷っているけれど、本当はAを選びたいと思っている自分」「相手のためだと言い聞かせているけれど、実はただ見捨てられるのが怖くて執着しているだけの自分」——そんな、普段は無意識に蓋をして見ないようにしている感情や願望を、タロットは78枚の絵柄を通して、時に優しく、時にユーモアを交えながら、ストレートに見せてくれます。
「病気を治すこと」は医師にしかできません。「遠い未来を決定すること」は、これからのあなた自身にしかできません。でも、「今、この瞬間、私の心が本当に求めているものは何か?」という問いに対しては、タロットは世界で一番優秀な通訳者となって、あなたの心の内側を言語化してくれます。
遠すぎる未来の幻影に囚われたり、不確かなものに健康や命の判断を委ねてしまったりするのではなく。タロットを「今をより良く生きるための、心の羅針盤」として、上手に、そして健やかに活用していっていただきたいと強く願っています。